ニート、クスリと酒に溺れる ニートから東大合格への道その7

前回の記事:その6:とうとうニートになっちゃった

バイトを短期間で辞め、親戚の集まりで屈辱を味わった私は、 劣等感、嫉妬、自己嫌悪、無力感などを抱き、日々を過ごしていました。

そんな時、『人格改造マニュアル』という本を読んでいたら、 「気分が悪いのに精神科へ行かないのは、 歯が痛いのに歯医者へ行かないのと同じことだ」 ということが書かれていました。

「これや!」とこの言葉に感銘を受けた私は、 「よ〜し、クスリで人生変えちゃおう!」と決心し、 早速近場の精神科に予約をとり、行くことにしたのです。

こういう情熱や行動力を、最初から勉強に向けていれば 良かったのですが、当時の私は知る由もありません。

キチ○イみたいなのが沢山いたらどうしようと少し不安になったのですが、 実際に行ってみると、静かな場所にある小奇麗な医院で、 ピザな中学生(♀)&その両親、婆さんが先客でいました。

看護婦さんとの会話に聞き耳を立てていると どうやらピザは学校でのイジメ、婆さんはボケのようです。

まず中学生が診察室に入っていったのですが、 数十分後に、 シンナーを吸う袋みたいなのをスーハースーハーしながら出てきたではありませんか。

「うわ、この病院はシンナーOKなのかよ」とドン引きしてしまったのですが、 過呼吸に対する処置だと、後で知りました。

次に婆さんが診察室に呼ばれるのと同時に、 私もカウンセラーに呼ばれ、質問を色々されました。

「なぜこの医院に来た?」→「夜眠れない、死にたい」

「好きなことは?」→「音楽鑑賞、読書」 (音楽鑑賞はピストルズで、読書は中島らもだが)

「自分の人生をどう思う」→「つまらないと思う」

こんな感じで、本音を交えながら回答していると、診察室に呼ばれました。

医者は初老のオッサンで、これといった堅苦しい雰囲気もなく、木の絵を描いたり、 生い立ちを聞かれたり、ここでも色々聞かれました。

一通り聞き終わった後、医者は 「う〜ん、これは軽度の鬱だね。クスリ出すから飲んで様子を見てください。」 という診断を下したのです。

クスリがもらえると聞いて、「やったぜ!」と思ったのですが、 「“軽度”とは何だ“軽度”とは!オレはこんなに悩んでいるのに!」 という思いもありました。

それはともかく、念願のクスリをゲットして 嬉々とした私は、早速家に帰って飲んでみました。

が、眠くなるだけで、ちっとも良い気分にならないのです。

※今だから書くけど、最初の処方は抗鬱剤がドグマチール、安定剤がデパス、眠剤が銀ハルだった。 その後デパスがレキソ5mg、銀ハルがロヒにクラスチェンジし、 酒クスリタバコの黄金の三角形を構築することになる。

鬱とはかけ離れた、ただの怠け状態にあった私に、 抗鬱剤が効くはずもないのですが、当時の私はそれが分からず 「あのヤブに騙された!インチキだ!」と、フラフラになりながら憤っていました。

ただ、安定剤は飲むと落ち着くので、安定剤だけもらいに 2週間に1回、医院に通うことになりました。

しかし、私の期待していたような劇的な変化は、 クスリでは得ることができなかったのです。

酒で現実逃避を始める

医者からもらったクスリは聞かない、タバコを吸っても良くならない。 そんなどうにもならない、イライラした日々を過ごしていた時、 ふと「酒を飲めば楽になれるんじゃないか…」という思いが、頭をよぎりました。

今まで酒を飲んだ経験といえば、二十歳を過ぎた頃に缶チューハイを1本飲んで、 翌日頭が痛くなった位のものだったので、 時間も余っているし、ここはいっちょ酒で憂さ晴らしでもするかと、酒に救いを求めたのです。

何を飲もうかと考えたところ、シャンパンを飲んでみることにしました。 お祝いの時に飲むものだし、景気付けにはもってこいだと当時の私は思ったのです。

というわけで、白川通りにあるリカーマウンテンにシャンパンを買いに行ったのですが、 シャンパンは高い!

まだ親のスネをかじって生活していたので、 流石に1瓶4000円は無理だな〜と思っていたところ、 スペイン産のスパークリングワインが目に付きました。

シャンパンと同じ製法で作られているのに、 こちらは1000円チョイしかしないのです。

ブドウから作られているんだからワインなんてどれも同じだろう、 ということで、スペイン産のコルドン・ネグロという 真っ黒の瓶に入ったワインを買って帰りました。

酒を買ったならツマミが必要だろうと思い、 ツマミは何にしようかと考えたのですが、 当時ワインに何が合うか、ちっとも分かりません。

考えた結果、シーフードっぽいものなら合うだろう ということで、イカスミスパゲティにしました。

スパゲティを食べながら、買ってきたワインを飲んだのですが、 これがすさまじく美味しい。

※2021年注:小金が貯まってから何度かドンペリ飲んだけど、 正直言ってドンペリなんかよりもコルドンネグロの方が美味しかった。

「なんだ!ワインってこんなに美味しいものだったのか!」 と感激し、グビグビ飲んでいると、あっという間に空になりました。

何だかフラフラして、とても気持が良い…と思っていると、 10分くらい過ぎたあたりから段々気分が悪くなってきたのです。

ヤバイ!と思ってトイレに行こうと立ち上がったのですが、 膝がガクンとなってその場にうずくまってしまい、 イカスミスパゲッティまみれの真っ黒な下呂を床にぶちまけ、 そのまま昏倒してしまいました。

ワインからバーボンへ

そんな酒とのファーストコンタクトを果たした私ですが、 あの酔った時の気分の良さは、この憂鬱な状況に差し込んできた、 「一筋の光」だと思うほど、素晴らしいものでした。

ただ、一度に1000円なんて咳止めシロップよりも高いので、 もっと効率的にアルコールを摂取できる酒、 ウォッカやウィスキーを飲むことにしました。

ウォッカやウィスキーを一通り飲んでみたところ、 私にはバーボンが一番好みだということで これからはバーボンと付き合おうということになったのです。

これが、アル中への第一歩となったのでした。

※当時一番好きだったのはヘブンヒル、 東大のときはワイルドターキーばかり飲んでた。 良い子のみんなはこんなの真似しちゃ駄目だ。

その8:ネット中毒で昼夜逆転に続く。

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