第3章七節から八節:解説まとめ『ニューアース』完全版

前回の記事:第3章五節から六節

前回は

「事実とエゴ的見解の違い」「鏡の中アクトレス」「愛し、思うままに行動せよ」

ということを書きました。

今回は集団とエゴについてで、 七節の記述について思い浮かぶのがカムイ伝だったりデビルマンの終盤であったり イデオン発動篇だったりするのですが、

実際の悲劇を挙げるとそれらフィクションなんかよりも 桁違いに酷い有様だというのが何とも言えないところです。

3章七節 エゴは個人的なものではない The Ego Is Not Personal

まずはそんな悲劇の第七節。

当節では問題提起だけで解決策は明示されていないのですが、 実のところ解決策は「自分の思考、発言、行動などを観察し気付く」ことだというのは 賢明な読者ならお分かりでしょう。

その上で当節をみてみると、

こんなことが書いてあるのですが、重要なのは、 悲劇を生み出す貪欲さ、自己中、残虐性などは個人的、 特定の人種や民族に限ったものではなく、全人類共通のものであるということ。

例えば『ホテルルワンダ』を見たり、 ロメオ・ダレール将軍のルワンダ再訪のドキュメンタリーを見たり、 ルワンダ虐殺について色々調べてみると、

「ラジオなんかに扇動されたルワンダの連中は何と愚かで野蛮な奴らだ!」 「こんな悲劇を生み出したベルギーの連中は何と残虐で狡猾な奴らだ!」 「ルワンダに山刀を売りつけた中国の連中は何と自己中な奴らだ!」

なんて思ったりすることでしょう。

こう思ってしまうのは仕方ないことなのですが、 この「何て奴らだ!」という考え方自体が

「ツチ族のゴキブリ共をぶっ殺せ!」 「馬鹿で野蛮な原住民を分割統治して資源確保したろ!」 「ルワンダに山刀を売りつけて大儲けしたろ!」

というような思考と(信じられないだろうが)本質的に何一つ変わらないし、

思考に囚われている限り、これを読んでいるあなたや私も、 フツ族、ベルギー人、中国人の立場だったら平気で同じことをしていただろうし、

そして、これら思考に囚われていることこそが 「地球全体に蔓延る人類共通の無意識状態」 だということに気付けるでしょうか。

繰り返しますが、何も「『アイツらは悪い奴らだ』とか思うな」と言論統制や 思想統制をしたいのではなく、

それらはただの思考で、 そういう思考および思考と同一化、思考に囚われているこそが、 この世界で悲劇を生んでいる全人類共通のものだということに気付け、 思考の檻から脱出するために、「自分が今、何を考えているか」に気付け、 ということです。

※まだ分かりにくなら、ガソリンスタンドで前のジジイがもたついていて頭にきた、 ババア共が横並びで道を塞いでいて頭にきた、悪口を言われて頭にきた等、 「主語が『オレ様』の怒り」が湧いてくることが他ならぬ無意識状態で、 この無意識こそが数々の悲劇を起こしてきた張本人であり、 いざこの状態になっても「オレ様が正しいのだから腹を立てるのは当然だ!」などと思っている限り、 ルワンダの悲劇を起こした連中と何も変わらないというわけ。

以上、エゴは個人的なものではなく、あなたや私や全人類共通のものなので、 それに気付きましょう、これが前節で述べた「愛」である、という話でした。

残りは「他人の気に食わない部分、特に頭にくる部分は、間違いなく自分の中にも存在している」 「しかもそれは他人とも自分とも実際は関係ない」という話で、 これは読めば分かるので自分で読んでくだち。

3章八節 闘いはマインドの癖 War Is a Mind-set

お次は八節。「心の癖」となっていますが原文通り「マインドの癖」にします。

他人から傷つけられそうになった場合、 身を護るのは当然だしOKなのだけど、 この護身に「悪いものたちを倒さにゃ!」という思考がくっつくと、 たちまち無意識に引きずり込まれ、その「悪いものたち」と同等になるという話。

そして、両者とも無意識状態なってしまうと、

「闘っても闘ってもキリが無く、 たとえ相手をぶちのめしたとしても新しい敵、 しかも大抵の場合さらに強い敵が出てくる」

という記述はジャンプ漫画に限ったことでなく、 実生活でも身に覚えがある人いるでしょう。

何でこうなるかというと、あなたや私が「闘い」というマインドの癖、 もっと分かりやすくいうと「悪は滅ぼさなきゃ」という思考パターンに囚われた結果、

知覚が歪められ、見たいものしか見ず、聞きたいことしか聞かず、 しかもその知覚を曲解して妄想(例「俺こそが正義!!それ以外は悪!敵!」)を生み出しているため、 その妄想通りに人生が展開しているからであります。

※昨年の解説にも書いたが、 程度の差があるだけで「一般人」も「統失患者」も基本的構造は変わらない。

よって、そんな思考パターン(つまりエゴ)から脱出して妄想を止めれば、 少なくとも「限りなき戦い」をストップできるのですが、 「脱出しよう、妄想止めよう」と思ってすぐにできれば苦労はしません。

じゃあどうするのかというと、当節にある通り、

ということなのですが、 「これじゃあ意味不明だよ」という人が大半ではないでしょうか。

なので、もっと分かりやすくいうと『Stillness Speaks』8章の内容で、 以前に解説記事の中でも取り上げた

If her past were your past, her pain your pain, her level of consciousness your level of consciousness, you would think and act exactly as she does. With this realization comes forgiveness, compassion, peace.

だと認識すればよろしいと思います。

最後に、本書の内容に限らず、 他人の意見を鵜呑みにする人は特に注意していただきたいことを蛇足ですが一つ。

当節ではホメオパシーと漢方の名が挙がっていて、漢方はともかく、 ホメオパシーについては欧州(特に筆者の故郷ドイツ)では有名なので取り上げたのでしょうが、

ホメオパシーが本当に効果あるのか私には分からないし、 しかも日本やアメリカでは死亡事故も起きているようなので、 それがあたかも既存の医療に取って代わるかのような当該記述については、 正直何ともいえません。

私は科学万能主義者でも「科学教」の信者でもないし、 人体にはまだまだ未知の部分があるのは事実なのですが、 ホメオパシーについては御免こうむりたいのが正直なところです。

以上、何か同じような内容が続いている気がするけど、今回はここまで。

第3章九節から十節に続く。

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