東大式!楽に書ける読書感想文の書き方

もうすぐ夏休みです。

学校嫌いだった私は、夏休み中は学校に行かなくて良いので、 もの凄く嬉しかった記憶があるのですが、 学校から出される宿題が大嫌いでした。

特にあの「読書感想文」というやつ!

「本を読んだ感想なんて、人それぞれじゃん」と今でも思うのですが、 出さないと親や教師から色々と言われます。

そこで今回、私なりの「読書感想文の書き方」というものを ここで披露しておきます。

「読書感想文なんて書きたくない!面倒だ!」 と思っている小中高生の皆さんは、 是非ともこの記事を参考にして、面倒な宿題を片付け、 夏休みをエンジョイしてください。

東大式読書感想文:具体例

書き方をダラダラ書いても、訳が分からなくなるので、 ここでは例を挙げながら、読書感想文の書き方を示していきます。

お題は私が好きな太宰治の『禁酒の心』です。以下『禁酒の心』の前半部分。

私は禁酒をしようと思っている。このごろの酒は、ひどく人間を卑屈にするようである。 昔は、これに依って所謂浩然之気を養ったものだそうであるが、 今は、ただ精神をあさはかにするばかりである。 近来私は酒を憎むこと極度である。 いやしくも、なすあるところの人物は、今日此際、断じて酒杯を粉砕すべきである。

日頃酒を好む者、いかにその精神、吝嗇卑小になりつつあるか、 一升の配給酒の瓶に十五等分の目盛を附し、 毎日、きっちり一目盛ずつ飲み、たまに度を過して二目盛飲んだ時には、 すなわち一目盛分の水を埋合せ、瓶を横ざまに抱えて震動を与え、 酒と水、両者の化合醗酵を企てるなど、まことに失笑を禁じ得ない。

また配給の三合の焼酎に、薬缶一ぱいの番茶を加え、 その褐色の液を小さいグラスに注いで飲んで、 このウイスキイには茶柱が立っている、愉快だ、 などと虚栄の負け惜しみを言って、豪放に笑ってみせるが、 傍の女房はニコリともしないので、いっそうみじめな風景になる。

また昔は、晩酌の最中にひょっこり遠来の友など見えると、 やあ、これはいいところへ来て下さった、 ちょうど相手が欲しくてならなかったところだ、 何も無いが、まあどうです、一ぱい、というような事になって、 とみに活気を呈したものであったが、今は、はなはだ陰気である。

「おい、それでは、そろそろ、あの一目盛をはじめるからな、玄関をしめて、錠をおろして、 それから雨戸もしめてしまいなさい。人に見られて、羨やましがられても具合いが悪いからな。」 なにも一目盛の晩酌を、うらやましがる人も無いのに、そこは精神、吝嗇卑小になっているものだから、 それこそ風声鶴唳にも心を驚かし、外の足音にもいちいち肝を冷やして、 何かしら自分がひどい大罪でも犯しているような気持になり、 世間の誰もかれもみんな自分を恨みに恨んでいるような言うべからざる恐怖と不安と絶望と 忿懣と怨嗟と祈りと、実に複雑な心境で部屋の電気を暗くして背中を丸め、 チビリチビリと酒をなめるようにして飲んでいる。

「ごめん下さい。」と玄関で声がする。

「来たな!」屹っと身構えて、この酒飲まれてたまるものか。 それ、この瓶は戸棚に隠せ、まだ二目盛残ってあるんだ、 あすとあさってのぶんだ、この銚子にもまだ三猪口ぶんくらい残っているが、 これは寝酒にするんだから、銚子はこのまま、このまま、さわってはいけない、 風呂敷でもかぶせて置け、さて、手抜かりは無いか、と部屋中をぎょろりと見まわして、 それから急に猫撫声で、 「どなた?」

ああ、書きながらも嘔吐を催す。人間も、こうなっては、既にだめである。 浩然之気もへったくれもあったものでない。

「月の夜、雪の朝、花のもとにても、心のどかに物語して盃出したる、よろずの興を添うるものなり。」 などと言っている昔の人の典雅な心境をも少しは学んで、反省するように努めなければならぬ。 それほどまでに酒を飲みたいものなのか。 (後略)

私の感想文

:まず私が驚き、そして面白いと思ったのは、この作品が発表されたのが 昭和18年(1943年)の戦時中である、ということだ。 昭和18年というと、まだ本土への空襲は激化しておらず、 焼酎の配給があるくらいだから、人々の暮らしもさほど困窮していなかったのであろうが、 戦時中にこれほどのユーモアを持った作品が書けるというところが、 太宰治氏(以下「太宰」)の凄いところである。

:太宰は、何を思ってこの作品を書いたのだろう。 「早く戦争が終わって、好きなだけ酒を飲めるようにしてくれ!」なのか 「戦争なんてどうでもいい、俺は酒が飲みたいんだ!」なのか、 「本当に酒をやめようかしら…」なのかは分からない。

:ただ、この作品のように、酒により精神を“あさはか”にし、 “吝嗇卑小”にした経験のある私としては、 「酒以外のことはどうでもよくなるので、酒やめたい」が正しいように思われる。

:酒を痛飲して朝起きると、頭が痛く体もだるく 「ああ、昨夜はあんなに飲むんじゃなかった」という後悔の念ばかりが沸いてくる。 二日酔いを軽減させる薬を飲み、横たわっていると、段々と体の調子も回復してきて、 体の調子が回復してくるのと同時に、酒に対する欲求も戻ってくる。 日が落ちる頃になると、朝目が覚めた時の後悔の念はどこへやら、 酒を飲みたいという思いに頭が支配され、たまらなくなって (この辺の心境は、小説同様「実際たまらない」のだ)近所のスーパーへ酒と惣菜を買いに走る。 そして、ネットをやりながら、テレビを見ながら一杯、また一杯と杯を重ね、 朦朧とした意識の中で眠りにつく。翌日目が覚め、「ああ、しまった!」 「一体いくら飲んだんだろう」という最悪の気分になってしまうのだ。

:ちなみに、上記の「いくら飲んだんだろう」の「いくら」とは、「酒の量」と「何円分」の2つを指す。 小説の冒頭に書いてある通り、戦争が終わって何十年も経った今でも、 酒飲み、特に貧乏人の酒飲みというのは、金と酒が減るのを特に気にし、非常に吝嗇になるのだ。 そして、「いかに効率よく酔っぱらうことができるか」だけに注目する。 私は当初、ワインやビールを飲んでいたのだが「アルコール1ccあたりの単価が高い」という理由で、 ウィスキー一本になってしまった。 それに加えて、スーパーや酒屋に行くと、アルコール1ccあたりの単価というものが 暗算で出せるようになってしまった。

:それほどまでに酒に執着してしまうのである。 これらの所業は、傍から見れば喜劇以外の何ものでもないが、 本人は至って真面目なのが始末に負えない。

:もしかすると、太宰も「至って真面目」な気分で、 この小説を書いたのかもしれない。

:このような体験を書くと「なぜそこまでして酒を飲むのか」と言われる人や、 「酒以外に楽しみは無かったのか」と言われる人がいるかもしれないが、 酒に依存している人間にとっては、「酒が第一」であり、酒を切らすことは 命を取られるに等しいことなのである。

:これは丁度、権力に依存している権力の亡者が、 権力の座から失墜すると自殺をするのに似ている。 他にも、我が子に自分の人生を依存させる人間、パチンコに依存する人間、 ブランド物に依存する人間等々… 人間は何かに依存しなければ生きていけず、その依存対象が消滅すると 「もはや自分の生きている意味が無い」と絶望してしまう生き物だと私は思う。

:ただ明確なことは、権力に依存して戦争を起こしたり、 我が子に自分の価値観を押し付けて支配しようとするよりも、 酒に依存して自堕落な日々を過ごす方が、よっぽど平和的だということだ。

(1411字、原稿用紙3枚半)

読書感想文を書く際のポイント:自分の体験を書け!

即興で書いてみましたが、読書感想文を書く際のポイントは以下の4つです。

重要順で挙げていきます。

A:自分語り

これが一番重要かつ、一番字数を稼げる内容です。

本を読んで「あるある」と思ったり「自分の経験と似ている」と思ったら、 「僕にもこういうことありました」と、延々と自分語りをしましょう。

「読書感想文=自分語り」と言っても過言ではありません。

上の感想文では字数を控えめにしましたが、 この「自分語り」だけで、学校から言われている原稿用紙の枚数を クリアできると思います。

B:作者の心理状態(あくまで予想)

「これを書いた作者はどんな気持ちで書いたんだろう」 という予想を書きます。

こんなものは作者にしかわからないので、 当たっていようが外れていようが何の問題もありません。 作者が故人なら、なおさらです。

「この部分から察するに、こういう感じだったのだろう」などと書くと、 何か分析してるみたいでカッコよくなります。

C:物語の背景

感想文の書き出しはこれでOK。

本が書かれた時代や地域が現代の日本ではない場合、 書かれた地域の情報や時代背景を書くと、非常に字数が稼げます。

ネットがありゃ自分で調べられるので、調べて書こう。

D:予想される反論とそれに対する意見

これはオマケ。

今まで自分が書いてきた文章に対する反論を 適当に予想して書き、その予想した反論に対し、 適当に意見を述べておけば、字数が稼げます。

他の人の思想を借りてくるのも良いでしょう。 ちなみに上の例では、中島らも氏の『今夜、すべてのバーで』にある思想を借りてきました。

以上、4つのポイントを紹介してみましたが、 色々組み合わせて、適当に字数を稼げば よろしいかと思われます。

中高生におススメの一冊は『車輪の下』

何の本を読んでいいか分からない、という中高生の皆さんに 私がおススメする一冊は…

ずばり、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』です。

色んな会社から出ていますが、新潮文庫から出ている 高橋健二氏の訳が一番美しいです。

これは楽な題材です。 しかも、文庫本だから300円程度で買えちゃうし。

何で楽かというと、学校や教師や受験社会に対する不満、 それも自分が持っている不満をダラダラ書くだけで、何か読書感想文っぽくなるから。

「勉強や学校が人生のすべてじゃないと思う」 「ハンスの時代と同じく、今の受験制度は間違っていると思う」 「教師の”ことなかれ主義”は間違ってると思う」 「僕も男同士でキスをしたことある(まずいですよ!)」 などと、自分語りをダラダラ書けば、それだけでOKなのです。

こりゃあ、書かない手は無いでしょう。

「自分語り」だけで字数が稼げないなら、ヘッセの生い立ちや 当時のドイツの時代背景をウィキとかで調べて、 それを元に書いておけば良いでしょう。

まぁ何を選ぶにしても、読書感想文なんて提出するだけなんで、 適当に書けば良いと思います。

追記

私的には『車輪の下』より『シッダールタ』が好きなのですが、 中高生があの「真理」を理解できるとは到底思えないので、あれを読めとは言えません。 中高生であれを理解できる人は、私以上の逸材か、もしくはただのバカでしょう。

ちなみに私が高校時代に選んだ題材は『三国志』でした。 戯曲の三国志演義とかはすごく長いので、横山光輝のやつ。

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