前回の記事:遠離一切顛倒夢想
般若心経の本文も今回でオシマイ。
この期に及んで言うのも何ですが、 「般若心経の解説書なんてロクなのがない」と散々書いてきたけど、 一冊、私の本棚に残っている般若心経に関する書籍が あることを今更思い出したので紹介しときます。
それは『生きて死ぬ智慧』という本。
著者である柳澤桂子氏の、般若心経に対する解釈が書いてあるだけの本なので、 これを解説書を呼んでいいのか分からないし、
というような特徴があり、読んで損はしない本だし、
それより何より、「全ては原子の移り変わりに過ぎない」という、 自分と同じようなことを考えていた人がこの世にいたことに感激し、 私なぞは2冊持っております。 (じゃあ新品買いなさいよ、という話なのだが)
そこら辺にいる坊主やエセ宗教家がのたまう 「物事にこだわらないようにしましょう」 「他人に親切にしましょう」 「いつも前向きな気持でいましょう」 「心配事の99%は起きません」 などといった寝言や戯言ではなく、
「全ては原子の移り変わりに過ぎない」 こちらの方がよっぽど簡潔であり、究極的な真理を指し示しているし、 何より救いの言葉になるではありませんか。
※そもそも、「心配事は起きません」みたいな下らない気休めでなく、 「失敗して当たり前」 「嫌われて当たり前」「何があっても結局最後は死ぬ」 と開き直って突撃した方が、結果として上手くいくというのが私の経験に基づく持論だが、 麻薬中毒の如く甘言に浸っていたい人もいるだろうから、まぁ人それぞれだろう。
何でこんな良い本が叩き売りされているのか、 インテリの考えは俗物共には理解されないのか、 悲しいなぁと思うし、
やっぱ学問といったら自然科学やで!文系なんてアカンわ(暴言)
そんな自己批判はさておき、自己批判とは真逆の自画自賛のパート。
前回述べた通り、 ここからは消化試合みたいなもんなので適当に訳すと、
「ゆえに知るべし、般若波羅蜜多とは大神呪であり大明呪であり、無上の真言であり 比類なき真言である。一切の苦を除き、真実にして虚ならず。よって般若波羅蜜多の真言をとなえよ」
となります。
「大神呪」「大明呪」「無上呪」「無等等呪」 については文字こそ違えど、どれも「サイコーです」というニュアンスの同じ意味で、 「呪」は呪いのことではなくて「真言(マントラ)」くらいの意味で良いでしょう。
※「そんなことない!大神呪や大明呪には特別な意味があって云々」 なんて反論するのがいるかもしれないが、そんな伝言ゲームは意味無いと散々書いてきたし、 そもそもの話、伝言ゲームやテキスト分析等で悟れるならば、 その道のエリートである東大文学部の学生や教授なんかは皆悟れてるで。
ともかく、読んでの通り「自画自賛パート」なので、 特に何かを理解したり覚える必要はありません。
「能除一切苦」という能書きにしても、 般若心経を暗記して壊れたラジカセの如くリピートしたからって、 それで苦が一切なくなるわけでもないし。
いよいよラストの真言パート。
特に訳す必要もないのですが、
「即ち、真言をとなえて曰く、ギャーテーギャーテーハーラーギャーテーハラソーギャーテーボーディーソーワカ、般若心経」
ということで、これにて般若心経はオシマイとなります。
問題?は、この「羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶」という真言で、
「この真言こそ般若心経の真髄である!」 「この真言が般若波羅蜜多である!」なんていう解説もあるけど、
私としてはただの掛け声、新日の「1,2,3ダー!」や ストーンズの”I'm Jumpin' Jack Flash It's a gas gas gas”等と何ら変わらない、 半ば非言語化した締めの言葉だと思うし、実際そんなものでしょう。
そのような意味不明な掛け声をありがたがるのもどうかと思うし (意味不明だからこそありがたがるのかもしれないが)、
身も蓋もないことを言ってしまえば、 マントラなんてただの空気の振動、音波に過ぎないので、 そんなものをありがたがって依存するだなんて、 馬鹿げた話じゃありませんか。
何が言いたいのかというと、 別に真言宗とかをディスりたいわけでは全くなく、
引き寄せやインチキメソッド同様、 これまでの人生で何も成し遂げたことのない人間が、 付け焼き刃のマントラに飛びついて私利私欲を叶えようとしても 何の効果も無いということと、
そういった私利私欲をエサにする、 仏教の皮を被ったカルトは多々あるので、
「人生が好転する!秘密のマントラ教えます」 「悩みを消す方法を知りたければこちらまでメール」 「仏教について学びませんか?仏教を学んでハッピーライフ☆」
といったミエミエのインチキ話には気をつけよう!という、 般若心経とあまり関係ないことです。
それより何より、私としては「マントラ」と聞くと往年のふたばネタ
「マントラ唱えりゃヤツが来る!インドの秘宝 シヴァ★クチャー」
(「チ○ポの友達クチャーズ」で検索)を真っ先に思い出すし、
とっしーや「」は壺のせい壺の仕業といつも言ってるけど、
変な画像やコラはだいたい虹裏発じゃないか。
まぁ、この辺はあくまで私の意見なので、 「そんなことない!マントラには効果がある!」と譲らない人は、 マントラ1万回くらい唱えてみて、 それで実際に効果があるかどうか、身を持って試してみればよろしい。
で、冒頭に話した「耳当たりのよい言葉中毒」の人間と同様、 事態は何一つ好転しないだろうから、相変わらず苦しみ続ければ、 そのうち何かみえてくるでしょう。
ただ、しつこいようだが、カルトには注意しよう! 入学シーズンの新入生は特に。
仏教やらキリスト教やら自己啓発セミナーやらの皮をかぶって 甘い声で誘惑してきても
「金銭の要求」「狭いコミュニティへの囲い込み」 「こちらの価値観の否定&集団的価値観の押し付け」
が出てくれば十中八九カルトなので、 ただちに距離を置いて最悪の場合は弁護士に相談なさい。
一休さんじゃないけど「ご用心ご用心」やでホンマ。
※まぁ、当サイト開設時にも書いたけど ブラック企業も十分カルトといえるのだが。 そういえば、一休さんの最終回(一休さんが皆にお別れをして修行の旅に出るという話) のラストでも般若心経が流れていた。
以上、今回はここまで。次回は総まとめ。
全訳と用語解説に続く。
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