前回の記事:『歎異抄』について語る1
今回は歎異抄に出てくる用語について、ちょっと解説いたします。
いや、前回書いた通り「解説」というよりも、 私の感想文というか勝手な解釈の寝言を垂れ流してまいります。
あと前回書いたといえば、今回紹介する用語を検索すると、検索上位にカルトまがいのページが出てくるので、 ちゃんとサイトの出自をチェックしましょう。くれぐれもカルトにはご用心ご用心!
まず本願寺とか浄土真宗では頻繁に出てくる「本願」ですが、これは一言でいうと、
阿弥陀如来の「全ての生命を救済し極楽浄土へ導く」という決意
のことであります。
なぜ阿弥陀如来なんだ釈迦如来じゃないのか、と言われても私は知りませんし、 「何か昔からそうだから」「何かお経に書いてあるから」以外のことは、誰も知らないのが現状でしょう。
そもそもの話、ゴータマ・シッダールタが始めた「苦しみ」についての哲学が、 ヒンドゥー教とかゾロアスター教とか神仙思想とか山岳信仰とか色んなのと混じって、
やれ阿弥陀如来だの大日如来だの薬師如来だのとポケモンの如く増えた時点で、 何かおかしなことになっとると思うのですが、まあええやろ。
んじゃ「他力」とは何かというと、「阿弥陀如来の『本願』の力」のことであります。
なので、「他力本願」というのは「他人の力をあてにする」「自分で何もせず他人にやらせる」の意味ではなく、 「阿弥陀如来の本願力に委ねる」くらいの意味です。
「全て阿弥陀如来におまかせ」というのが何かイスラムぽいというか、 「全て阿弥陀如来がお救いくださる」というのが何かキリスト教ぽい気がしますが、 大雑把にいえば浄土真宗もそんな感じなのであります。
この「他力」により本願を信じることができたり、念仏が口から発せられたりするのであるから、
自分で「(阿弥陀如来の本願を)信じるしかないでしょう!」とやったり、「良いこと」を期待して念仏を唱えたり、 果はカルト宗教に入信しても無駄なのであります。
ではその「阿弥陀如来(阿弥陀仏)」について。
wiki読めば分かりますが、「阿弥陀」とは「無限の光」「無限の生命」の意味で、 「無量光仏」「無量寿仏」なる別名がある…なんていう解説はどっちでもよく、
別に阿弥陀如来に限ったことではないのですが、一般的に「仏様」なんて聞くと、 まず頭に思い浮かぶのは、
あの小太りの、奇天烈なパンチパーマのオッサンの姿で、 それは皆さん共通の認識でしょう。
何でこんなザマになっているのかというと、やはり日本各地にある仏像や仏画が原因で、 その仏像や仏画の美的感覚が7〜8世紀の唐時代あたりで止まっているから、であります。
ギリシヤの彫刻家達がアレキサンダー大王と一緒にインドにやってきて仏像を作り始め、 それが後漢やら隋やら唐やら百済やらを経て日本にやってきた、 というのは世界史やった人ならお分かりでしょう。
でもなんでデザインセンスがその時代あたりでストップしているの? 太宰治も『ロマネスク』で述べてたけど。
そもそも仏像や仏画というもの自体が、馬鹿や蛮族向けに作成された「方便」の一つではありませんか。
本来の仏とは「無色無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法」な、 とらえどころのない存在、いや「存在それ自体」というか「存在非存在を超えたもの」であるのに、
日本人の大部分が「馬鹿向けの方便」を「真実」だと勘違いしているのであります。
なので、あんなダサいオッサンの像や絵を「仏様〜」とかいって闇雲にありがたがる必要などなく、 奈良の大仏見たら「おお、ホントにでけえな!おお、ホントにでけえな!」くらいの感想で充分であり、
阿弥陀如来においても、あんなサンダービデオに出演してそうなオッサンの姿などではなく、 自分の美的感覚でもって自分の好きな姿(マッチョでもホストでも、何なら女体化でもアニメ絵でも人外でも) を思い浮かべた方がご利益もあろうってものであります。
小太りのオッサンを拝むよりも自らの仏を見出す方が「自灯明法灯明」と遺言したゴータマ・シッダールタも浮かばれますし、 「仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し…」と言いますしな。 「仏に逢うては…」は浄土真宗じゃなくて臨済宗の話やけど。
そういえば、愛知にアニメ絵の御朱印帳を書く寺があるみたいだけど、 その寺の住職の方は「自らの仏を見出した」という一点において、 比叡山にいる大阿闍梨なんかよりも余程優れておりますな。 (ここでいう「優れている」とは「より仏に近い」の意味)
大体、千日回峰行なんて山伏修行の猿真似に過ぎないから。 あんなものでどうにかなるんやったら自衛隊のレンジャー部隊は皆大大大阿闍梨や。
というわけで話は逸れまくっているけど、阿弥陀仏像を枕にして昼寝していた一休さんくらいで丁度よく、 次回から五木寛之氏訳の『歎異抄』を参考に、歎異抄本編についてダラダラ書いてまいります。
歎異抄ぉ^〜(本願な挨拶)
次回の記事:『歎異抄』について語る3
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