悪人正機とは『歎異抄』について語る４

ということを前回まで書いてまいりました。

そういや大阪の御堂筋ですが、北御堂と南御堂に参拝したことのある大阪人、どれくらいいるのでしょうか。

というより「御堂筋」の由来が北御堂と南御堂をつなぐ道だということ知っている大阪人、あまりいないような気がしますわ。

二章：自力で悟りなんて開けない

そんなわけで第二章。

本章の要点は、

となっております。

ここでいう「念仏」とは「南無阿弥陀仏と唱える」だけでなく「阿弥陀仏の本願を信じる」もプラスした感じでしょう。

早い話、

「自分で悟ろうと思って散々修行しても悟りなんて開けないので、阿弥陀仏の他力におすがりして念仏するしかねンだわ」

ということで、修行に修行を重ねてきたエリートの親鸞だから言える台詞でありましょう。

親鸞の足元にも及ばない私ですら、何年も修行の真似事みたいなことしてきた結果、

「何をどうやっても、どんな思考や概念を付け加えても、悟るなんて無理」「悟るための秘術や魔法、メソッドなんてものはない」「『私は悟りを開きました』『私は悟りを得ました』なんて自称する輩は嘘つきの詐欺師だけ」

ということが分かったので、自力による修行の無駄について、親鸞は誰よりも強く実感したことでしょう。

なので「自分で何をやっても無駄！他力にすがって念仏するしかない」ということになるのですが、

「念仏したら絶対救済されますかァー？」「そもそも阿弥陀仏の本願って本当にあるの？」なんて疑問の声が出てくるだろうし、少なくとも私は「本当に阿弥陀仏は私を救ってくれるのかね？」などという疑問を持っております。

それについて考えてみると、あなたも私も、何をしていようが結局は生命維持活動がストップして（肉体レベルで）死んじゃうし、死んだらどうなるかなんて誰も客観的に証明していないし、かといって前述の通り悟りなんて無理なので、

どんなに足掻いてもどうにもならないのなら、（小太りのオッサンではない）阿弥陀仏の本願、つまり阿弥陀仏の他力にすがって念仏するのが一番合理的なんじゃないかと思えてくるのであります。

要はニューアースとかで散々言及してきた「自分（エゴ）ではどうにもならないのでお手上げする」「私は、自分では何もできない」と同じようなニュアンスであり、

たとえこの方法が間違っていたとしても、本章で親鸞が言っている通り「煩悩まみれエゴまみれの私達にとって、他に実践可能な方法なんて無いんだからしゃーないやん」で済む話なのであります。

実際、修行に修行を重ね、苦しみに苦しみを重ねたら本当にそうなるんだから仕方ないね（レ

お次は歎異抄の中でも有名なこれ。

「善人ですら救われるのだから、悪人が救われるのは間違いない」

というもので、善人と悪人が逆だろと思うのですが、断じてそうではございません。

これは一体どういうことか、一つの具体例を挙げると、

法然（親鸞の師匠）が今の兵庫県たつの市あたりを旅していた際、彼のもとに遊女がやってきて、「身体を売って日銭を稼いでいる私のような罪深い者でも救われるのでしょうか？」と尋ねたところ、

「やめることが可能ならばそのような仕事はおやめなさい。でも生きていくために続けるしかないのなら、 そのままでいいから、阿弥陀仏の本願を信じて南無阿弥陀仏を唱えなさい。阿弥陀仏はあなたのような者のためにある」

と答えたのは有名なエピソードで、浄土宗の人なら一度は聞いたことあるんじゃないの。

翻って現代のＳＮＳ上では、身体を売って金を稼ぐことが女にとって最上の手段であるかのように振舞い、年取って何の取り柄も無くなると、「社会が悪い政治が悪い男が悪い」なんて吠えて税金等にたかろうとする輩が少なからずいるではございませんか。

そういう輩は自分こそが「善人」そのものであり、自分が「悪人」だとは微塵も思っていないことでしょう。

※そういう輩に限らず、本書にもあるように、人間が１日生きていくだけでも何百何千という他の命を奪わなきゃいけない。

要するに悪人正機とは、

自分を「善」だと信じて疑わない、驕り高ぶり言語道断な「善人」ですら阿弥陀仏は救ってくださるのだから、上記の遊女のような、自分自身の煩悩や罪に押しつぶされそうになっている「悪人」が救われるのは当然である、

ということなのであります。

他にも列挙すると、自分の思考や行為で悟れると思っている者、全宇宙の自然現象の数％も解明されていないのに科学や医療を絶対だと信奉する者、カルト宗教の教祖と信者、ネトウヨやパヨク等、「自分こそが正しい」と信じて疑わない者が「善人」でございますな。

以上、こんなことを書いている私はもちろん「悪人」に決まっとろうもん、だからお手上げして阿弥陀如来の本願におすがりさせていただくしかないのであります、ということで今回はここまで。

歎異抄ぉ＾〜（悪人正機な挨拶）

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